3次元設計及び解析について 2011年9月9日
○新製品を開発する場合は構想設計→製図→試作→評価→本製作となりますが、ベテラン設計者ほど勘で部品の厚みなどを決定してしまいがちです。
有名なゼロファイター(零戦)は三菱重工業名古屋製作所の設計主任の堀越さんが欧米列強の空気抵抗の極めて少ない流線型で飛行速度が高い航空機を設計するために質量の軽減にこだわった設計が有名です。
航空機は速度が増すほど空気抵抗が増すのは当たり前ですが、戦闘機としての急旋回などの運動性能が生死を分ける戦闘マシンでした。
そこで当時の住友軽金属が開発した新しい軽金属である超超ジュラルミンを使用して沈頭鋲で空気抵抗と徹底した軽量化を実施したことで知られています。
確かにジュラルミンは軽量化に貢献しますが縦弾性係数が鋼に比べて約1/3と小さいので同じ荷重が作用しても変形量は約3倍です。
昨今では自家用車の燃費向上の目的で軽量化が実施されており、本ジュラルミンがボンネットなどに採用されて来ているのも事実です。
特にこれから普及する電気自動車ではリサイクル性も良いジュラルミンが多く使用されると考えられます。
しかし質量軽減のためにジュラルミンを使用しても前述した大きな変形量が伴うために機械そのものの仕様を満足しないことも出てきます。
その場合には、鋼とのハイブリッド化も考慮するべきです。
昔のある企業では骨組構造体を設計する技術者に対して計算する時間が勿体無いので大体の大きさで製作してから自分でその部品の上に乗っかり、変形量が大きい時は、少し厚みを増やせ!などと指示しているのを聞いた事があります。
これは、例の強度が足りない建築物と一緒で満足な計算しないで製作して、万が一大震災で壊れてから「想定外」で免責されるのでしょうか?
時間を少しくらいケチっても技術者としては、失格です。
それに事故が発生してから、それらを予測出来た場合には、ペナルティーモノです。
大きな事故に繋がる場合や人身事故が予想される場合には、強度計算をしましょう!!
最近では、骨組構造物はエクセル程度で強度解析が出来ますし、機械部品は3次元強度解析が簡単に出来ます。
ただコンピュータ強度解析で注意が必要なのは強度計算結果が信頼出来るかどうか?はやはり、経験がモノを言います。
コンピュータ結果を全て鵜呑みにすると大変です。
ちゃんと検証しましょう。